発達障害ではなく、ニューロダイバーシティー
2024.02.29
こんにちは カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也です。
以前の記事で、アダルトチルドレンとHSPの見分け方とアダルトチルドレンと発達障害の一番大きな違いについてお話いたしました。この記事では、これらの記事では説明しきれていない、発達障害の事についてお話ししたいと思います。
ニューロダイバーシティーとそれに関連する言葉
では、まずニューロダイバーシティーとはいったいなんなんでしょうか。日本では発達障害とされている自閉症スペクトラム(ASD)、ADHDなどが、このニューロダイバーシティーに当てはまります。このような方たちの事を総じて、ニューロダイバージェントと言います。ニューロダイバージェントでない人たちの事を、ニューロティピカルと呼びます。
誰にでも当てはまりかねない特徴
では、ニューロダイバージェントとニューロティピカルに二分するべきかと言いますと、決してそうではありません。
例えば、ASD(ニューロダイバージェント)の特徴の一つにこだわりが強いというのがあります。当然のことながら、ニューロティピカルの人でもこだわりが強い人もいます。そうでない方もいます。また、ルーティーンに固執するのもまたASDの特徴でもあります。これもまた、ニューロティピカルの方でもルーティーンにこだわる方ももちろんいます。
スペクトラム
ここ最近、人間を男性か女性かだけで分ける事が間違っていることであることがわかってきています。そうではなくて、ある部分においては社会的観点から男性的な部分を持ち合わせている女性。しかし、この女性も社会的観点から女性らしい部分を持ち合わせていたりもします。そうではなくて、そもそも性別がどちらでもない人もいれば、男性として生まれてきた女性もいる。性別が実は多様であることが理解されつつあります。
発達障害に関しても同じです。人間を、発達障害を持っているか、そうでないかで分けるべきではなく、下のように線上で考えるべきでしょう。
ニューロティピカル----------------------------------------------ニューロダイバージェント
つまり、「ある部分に関してはニューロダイバージェントよりな所はあるが、ニューロティピカルよりな所もある」といった具合です。
そもそも、ニューロダイバージェントの方たちに発達障害という言葉を使用すること自体が好ましくありません。現代社会は、ニューロティピカルによって作られたものです。発達障害とは、ニューロティピカルの視点から見て「普通ではない」から発達障害としています。しかし、「発達障害」という言葉を使用してしまうと、それに当てはまる人たちに対して偏見や差別の目で見てしまい、その人自体を見ようとすることの妨げになってしまうのです。
ではなぜ診断するかと言いますと、それは診断名がつくことによって保険が適用されるという、ニューロティピカルによって作られた現代の社会の仕組みがそう成り立っているからです。基準を満たせば診断がつきます。しかし、基準を満たさなかったとしても、ある程度の特徴があれば、それはニューロダイバージェントとの特徴があると考えるべきでしょう。
以上、今後もニューロダイバーシティーについて書き続けていきたいと思います。
参考文献
Nerenberg, Jenara. (2021). Divergent Mind-Thriving in a World That Wasn’t Designed for You. Harpar Collins Publishers.
Price, Devon. (2022). Unmasking Autism. Harmony Books.