ニューロダイバージェント特有の苦しみ
2024.03.28
前回のブログでは、ニューロティピカル(neurotypical)とニューロダイバーシティー(neurodiversity) についてお話いたしました。
今回のブログでは、ニューロダイバージェント (neurodivergent)の特有の苦しみについて、お話いたします。
マスキング
ニューロダイバージェント (neurodivergent) 特有の苦しみで特筆すべきことが、マスキング (masking) です。マスキングとは、日本語で仮面を被る事と同じイメージだと考えて頂ければいいかと思います。つまり、ニューロダイバージェント(neurodivergent) は本当の自分を隠して生活しなくてはいけないという事です。
では、そもそも、なぜマスキングしなくてはいけないのでしょうか。
前回のブログでもお話ししましたが、今の世の中はニューロティピカル (neurotypical) によって作られたニューロティピカル (neurotypical) のための社会になってしまっており、あまりニューロダイバージェント(neurodivergent)の事を考えて作られておりません。
ニューロティピカル (neurotypical) にとっての「普通」や、「ある程度のレベルまでできて当然」のことが、ニューロダイバージェント(neurodivergent)にとっては非常に難しいことだったり、難しいというだけではなく無理だったりするのです。
例えば、あるニューロダイバージェント(neurodivergent)にとっては、関係ない音が聞こえると、集中しづらいという特徴があります。それはつまり、様々な音が聞こえすぎる場所では、本来やるべきことに集中しづらくなってしまい、タスクをこなせなかったり、ベストなパフォーマンスを見せる事が難しくなってしまうのです。
そんな中でも、ニューロダイバージェント(neurodivergent)は生きていかなくてはいけませんので、意識的にも無意識的にも仮面を被り、本来の自分ではない自分で生きようとします。それはつまり、ニューロダイバージェント(neurodivergent)であるにもかかわらず、ニューロティピカル (neurotypical) になろうとするという事です。人づきあいが非常に苦手にも関わらず無理をして多くの人と付き合おうとしたり、あまり好きではないものでも周りが好きだから無理して合わせようとすること等がそれに当たります。
しかし、当然のことながら、本当の自分ではありません。本当の自分ではない自分を演じ続けるというのは実はものすご~~~く辛く苦しい事です。結果、どこかで無理が生じます。その無理が、心の病という形として現れてしまうのです。事実、ニューロダイバージェント(neurodivergent)はうつ病や不安障害等を併発している事が多いこともわかっています。
以上、マスキングについてでした。
次回は、本人や周りの人が実際に何ができるかについて、お話しさせて頂ければと思います。
参考文献
Nerenberg, Jenara. (2021). Divergent Mind-Thriving in a World That Wasn’t Designed for You. Harpar Collins Publishers.
Price, Devon. (2022). Unmasking Autism. Harmony Books.