仕事を休めば心の病が治ると勘違いする日本人
2023.12.16
こんにちは。カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也です。
日本の精神医療・心理学の遅れは顕著で、それが原因で様々なネガティブな影響があります。その一つに間違ったことを正しい情報として理解してしまっている方が大勢います。今回はその間違った情報の一つをご紹介いたします。
仕事を休めば心の病が治ると誤解させられる日本人
日本人のほぼ全てが、「心の病になってしまった場合は仕事を休み、ある程度時間が経てば心の病は治り、また仕事に復帰して心の病になる前の状態に戻ることができる」と誤解されています。しかし、必ずしも仕事を休むことが心の病の治療につながるかと言ったらそうではない事は多々あります。
例えば、不安障害という心の病の場合、不安にさせる原因を一時的に避けた(この場合は休職という形)からといって、不安にさせる原因が消えてなくなるわけではありません。そうではなくて、不安にさせる何かがそこに存在し続けてもそれをどのように受け入れ、不安になり過ぎず仕事ができるかが焦点になってくるのです。逆に、一時的にであれ避けてしまうと余計に不安になりやすくなってしまうのです。
とはいえ、仕事を休まざるを得ない場合もあります。例えば、重度のうつ病であればそもそも体を動かすことが難しくなったり、ベッドから起き上がる事すら難しくなります。流石にこれほどの重度の症状が出る場合は仕事を休む事も必要になってくるでしょう。また、辛らつな言葉を使ってくる上司等に嫌な思いをさせられてしまった場合、トラウマ等の心の病になってしまっている可能性もあります。そういった場合は、その原因からまずは離れるのも大きな助けとなるでしょう。
心理カウンセラーの介入
休むにしろ休まないにしろ心理カウンセラーの介入は大きな助けになります。どのような心の病であり、休む方が治療しやすいのか、それとも休まずに治療したほうが治療がうまくいきやすいのか等を判断するのは専門家となります。
しかし、よくある誤解としては、「薬を飲んで休養しておけば治る」というものです。しかし、一般的な風邪のように薬を飲んで放っておけば治るというものではありません。心の病とは様々なファクターが原因となり発症するもので、それらの多くは現在だけではなく過去の出来事等が影響しています。それらがどのように影響し、どうすればいいのか等を心理カウンセリングを通じて理解していくことが心の病に必要な治療となります。
以上、正しい知識を得て頂ければ幸いです。
カリフォルニア州公認心理カウンセラー
荒川龍也