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カリフォルニア州公認カウンセラーのブログ

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海外への引っ越しと心の病―海外駐在員とその家族の心の健康 (8)

こんにちは。カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也です。

過去何回かにわたってお話しさせて頂いている「海外駐在員とその家族の心の健康シリーズ」以前にも海外への引っ越しがなぜ大変なのかをお話しさせて頂きました。今回は、引っ越しがどのように心の健康を害してしまいかねないかについてお話します。

海外への引っ越しの現実

海外に行って生活をする。傍から見れば煌びやかで非常に羨ましい事のように見えるかもしれません。当の本人も、大変な事は多々あれど憧れの海外での生活に心躍らせる事も当然でしょう。しかし、実際に来てみたらこんなはずじゃなかったと理想と現実の大きなギャップに悩まれる方を非常に多くみかけます。例えば、英語。海外に住むだけですぐに英語を話すことができるという非現実的なイメージを持つ方ばかりですが、実際にはそんな簡単なものではありません。このように、海外への引っ越しの大変さを軽んじていらっしゃる方が非常に多くいらっしゃいます。

引っ越しとは喪失

喪失と聞くと大事な人が亡くなった時に経験することのみを表していると誤解される方が多いですが、引っ越しとは今まで会っていた人との別れや慣れ親しんだ地域との別れなどなど多数の「さよなら」を経験しなくてはいけないので、大事な人が亡くなってしまった時と同じような経験をすると考えていいのです(例えそれが一時的なものと分かっていても同じです)。

(喪失に関しての詳細はこちらでお話しさせて頂いておりますので、ご参考になさってください)

喪失がもたらす心への悪影響

以前のブログでは喪失が何かについて詳しくお話致しましたので、このブログでは喪失がどのように心に悪影響を及ぼすかをご説明差し上げます。

まず、引っ越した後に前の生活に戻りたいと寂しい気持ちになったり、自分の意志で引っ越したわけではない場合はその主な理由に対して怒りやフラストレーションを感じたり、うまくいかない事が多い中で落ち込んだり、不安や心配に苛まれたりするなど非常に様々な感情を経験することは当然の事です。この結果として、安定した睡眠がとれなかったり、頭痛や腹痛に悩まされたり、食欲に変化が現れたりするなど、喪失が体に対して悪影響を及ぼすのもよくある事です。

これらの症状は心の病の症状と似ていますが、喪失を経験すればある程度は経験して当然の症状ですので、心の病ではありません。新しい土地や生活に慣れていく事で少しずつ緩和していく事が期待できます.どれくらいで緩和し最終的には苦しまなくなるかは個人差があるので何とも申し上げられません。

しかし、人によっては前述のような精神的&肉体的な症状が続いてしまう事があります。その場合はうつ病や不安障害などの心の病の可能性を疑うべきでしょう。また、海外の国内で何度も引っ越しを経験したり、海外の国から別の海外の国へ引っ越しを経験させられる場合、うつ病や不安障害だけではなくトラウマの症状が見受けられる場合もあります。

何ができるか

大前提として、上記の正しい情報をもとに正しい理解をして頂くことは心の健康の負担を減らすことに非常に重要です。「せっかく周りがうらやむような生活ができているのに現実はそんなにすごいわけではない」という風に考える方もかなり見受けられます。しかし、そもそも前述したように、引っ越しとは非常に大変な事なのです。その非常に大変で負荷のかかっている事を毎日毎日頑張っているという現実も見てあげる事。自分は頑張っているんだと認めてあげる事も大事です。お子さんと共にいらっしゃったのであれば、それはお子さんにも言える事です。お子さんはお子さんなりに頑張っているのです。

引っ越してから長期間経っているのに、症状がなかなか緩和されない場合は、専門家の助けが必要かもしれません。その場合はお気軽にご連絡ください

 

以上、正しい知識を得て頂ければ幸いです。

 

荒川龍也
カリフォルニア州公認心理カウンセラー

 


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