海外生活の難しさ―大人編 (2) ~海外駐在員とその家族の心の健康 (3)~
2023.02.09
こんにちは。カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也です。
前回の「海外駐在員とその家族の心の健康シリーズ(2)」では、大人の場合において、海外生活がどれくらい難しい事なのかをご説明差し上げました。今回は、海外生活の難しさ―大人編(2)です。前回、英語ができないことの辛さ、家族や友人が近くにいないことの辛さ、そして文化の違いから発生する様々な大変な事についてお話いたしました。これらは海外生活の大変さの代表的な原因であり、他にも細かいことを言えばきりがない事でしょう。これらに共通していることが一つあります。
それは、喪失です。
英語ができないというのは、母国語を通じて当たり前にあった生活の便利さを失うという事。
家族や友人が近くにいないというのは、文字通り彼らの助けを失うという事。
そして、文化の違いが原因で発生する辛さもまた、もともと慣れ親しみ心地よかった文化の上での生活を失うという事です。
喪失を経験する人は、5つのステージを経験します。否定、懇願、悲しみ、怒り、受容です。
否定とは現実を否定して受け入れないこと。懇願とは、神様などに私は○○でいるから失ったものを取り戻してほしいと願う事。悲しみは、現実に対して悲しい感情を感じる事。怒りは、現実やこの現実を起こした人や出来事に対して怒りを感じる事。最後に、受容とは現実を受け入れることを指します。
この5つのステージを理解するうえで、いくつか気を付けて頂くべき点を述べます。
- 全てのステージを経験するわけではない
人によっては、悲しみと受容だけを経験する人もいれば、否定と悲しみと受容を経験する人もいるように、人によってどのステージを経験するかは違います。どれが正しいというものはありません。
- 順番があるわけではない
このステージを経験し終わったから、次はあのステージというように順番が決まっているわけではありません。
- 受容のステージを経験しても、他のステージに戻ることもある。
失った人やモノの事を思い出して時々悲しい気持ちになる事は誰もが経験したことがあるでしょう。たとえ受容のステージに立てたとしても、悲しみなどを感じて当然です。しかし、その後にまた受容のステージに戻ってこられればそれでいいのです。
- どのくらいの時間で受容のステージに行けるかは決まっていない。
どれくらいの時間がかかるかは人によります。
このように、海外生活を始めた人は、日々の大変さに加えて、これら喪失の5つのステージを経験しているのです。ご自身がもし海外生活を始めたばかりの場合、どれだけあなたが大変な経験をされていらっしゃるのか、ご理解いただけたことを祈念しております。前回のブログで述べたことに加えて、この喪失のステージを経験しなくてはいけないので、これらの事が心の健康を害してしまい、結果として心の病になってしまったとしても不思議ではないのです。それくらい海外生活を始めるというのは非常に大変な事なのです。
以上、正しい知識を得て頂ければ幸いです。
荒川龍也
カリフォルニア州公認心理カウンセラー
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アダルトチルドレン専門の心理カウンセラーとして、多くの方に心理カウンセリングを提供していく中、多くの方から「生きづらさ」について御相談頂いている事がわかりました。しかし、日本の心理学の大幅な遅れが原因で間違った情報がインターネットやSNSであたかも正しいかのように扱われ、それが原因で「生きづらさ」がさらに悪化してしまっている方も非常に多く見受けられます。
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