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カリフォルニア州公認カウンセラーのブログ

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アドバイスを与えないカウンセラーこそが本物のカウンセラー

アドバイスを与えないカウンセラーこそが本物のカウンセラー

こんにちは。カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也です。

この記事では、日本の心理学の遅れが原因で、日本人の間ではいまだに根強くある、「心理カウンセラーはアドバイスを与える人」という誤解について書きたいと思います。

もちろん、「科学的に証明されているもので、それがクライアントにとって知っておくべき情報である場合」は、その事実を伝えます。

しかし、セッションの流れは大半の場合が80%くらいがクライアントさんがお話をし、20%くらいはカウンセラーが話すという感じです。つまり、アドバイスを与えるという事はほとんどしません。

ではそもそもなぜアドバイスを与えないのか。ほとんどの場合、クライアントさんのためにならないからです。

  1. 自分で決められなくなってしまう

カウンセリングとは、始まった時からゴールを一緒に設定します。どうすればカウンセリングが終われるかを一緒に考えます。しかし、アドバイスを求めるクライアントさんに、アドバイスを与え続けてしまっていては、自分の言動がどのように自分に良いのか、もしくは悪いのかが気づけないまま、カウンセラーに物事を決めてもらう事になります。これではなかなかカウンセリングを終えられなくなってしまいます。

  1. アドバイスとは大半が実行されない

誰しもがこんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。

「友達が悩んでいて話を聞いてあげて、自分が思うベストなアドバイスをしたけども、結局その友達は自分がアドバイスした通りにはしなかった。」

よく「相談する側は相談する前からどうすればいいかだいたい決まっている」という言葉を耳にしますが、非常に多くの場合これは事実です。なんとなくだけども、だいたいどうすればいいのか頭ではわかっている。だけども一歩を踏み出せない。そういう場合に自分が思っているベストな行動が与えられたアドバイスとは違う場合、アドバイス通りにするわけはないのです。

  1. コントロールし続けていたい

もちろん、すべての相談者がどうすればいいかがわかっているわけではありません。中には本当にどうしていいかわからない人もいます。しかし、こういった場合でも、結局アドバイスを与えても実行してもらえない事がほとんどです。なぜなら、「自分の事・自分の人生は自分でコントロールし続けていたいから」です。

人間というのはどのような形であれ、コントロールされる事を心地よくは感じないどころか、コントロールされる頻度が多かったり、許容範囲以上のコントロールをされる場合、非常に嫌な気分になります。

アドバイスとはつまり、このコントロールを奪う行為なので、たとえアドバイスが正しいとわかっていてもコントロールされている事実は変わらないので、結局は自分の今までのやり方に戻りがちです。

その最たる例が、DV被害者です。研究結果によると、DV被害者が家を出てその家に全く戻らないようになるまでに、8回程度は出たり戻ったりを繰り返すことがわかっています。

  1. アドバイス通りにしても、思ったとおりに行かない事も多々ある

そして、一番最悪なパターンが、アドバイス通り実行しても、理想通りの結果が出ない場合です。この場合、クライアントさんというのは心理カウンセラーに対しての信頼を失ってしまいがちです。信頼関係というのは心理カウンセリングでは非常に大事な事で、これが無ければ治療は全くうまくいかなくなってしまいます。

 

以上、アドバイスを提供する事は、結果的にクライアントさんのためにならない事が理解して頂けましたでしょうか。

上記からご理解頂きたいのは、我々本物の心理カウンセラーというのは、大学院に行き、数年間のインターン時間を終え、国家試験を合格して初めて取れる資格を、わざわざアドバイスを与えるために取るのではありません。そもそもアドバイスが欲しければ、友達やパートナーなどに求めればいいのですから。

 

じゃぁ、心理カウンセリングとは何か。それはまた別の記事でご説明致します。

 

荒川龍也 LMFT (#82425)

カリフォルニア州公認心理カウンセラー