ストップ・ザ・自殺―PART3―自殺防止できない国、日本
2017.08.09
こんにちは。
カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也です。
前回のブログでは有効な自殺対策を挙げました。以下3点が簡潔にまとめたものです。
1.自殺を考えている人がすぐに電話をできる場所があるということを広めること。
2.カウンセリングを受けられる場所があるという事を広める。
3.他国でのすでに成功している自殺防止プログラムから日本に合うシステムを作り出す。
しかし大問題があることを述べました。
今回はその問題について。
***問題発生***
日本では1も2も3も実現させるために一番大事な何かが欠けています。
それは
国がメンタルヘルスシステムを管理できていないため、正規に教育を受けたカウンセラーの数が少ないことです。
アメリカ基準で正規に教育を受けたカウンセラーとは、大学院でカウンセリングの教育を受けた心理カウンセラーを指します。その数が少ないことがどう1-3に影響するのかを以下で説明します。
1.いのちの電話を例に挙げると、電話を取っているのはプロのカウンセラーではなくボランティア。参加するためには講座を受け、その講座も参加側の負担で、計2万円也。地域によっても違うようですが、鹿児島県の養成講座は計21回。これはプロから言わせれば少なすぎる。自殺しようとしている人の電話の相手をたった21回の講座でできるようになるとは到底思えません。
(余談ですが、いのちの電話がつながらないという問題も発生し、NHKでも取り上げられています。よくよく考えれば人が集まらなくて当然のようなシステムになっています。まずはボランティア。大変で責任の伴う仕事をボランティアでやらせるというシステムが間違っています。)
2.そもそも正規の教育を受けたカウンセラー自体が日本には少ない。また、残念ながら、大学院ではなく、民間の講座を受けただけのカウンセラーはたくさんいますが、質の高いカウンセリングを提供できているのか疑問です。加えて、なぜかここ数年、米国NLP協会認定カウンセラーというのをよく見ますが、こちら本場アメリカではNLPというのはカウンセリング業界では全く聞く名前ではないですし、私の理解ではNLPが主張することは科学的には証明できておらず、嘘の科学だと批判されています。よって、正規の教育を受けたカウンセラーからカウンセリングを受けられる場所を探すことの難しさという現状があります。
3.有効な自殺防止プログラムも結局のところ、心理カウンセラーから受けるカウンセリングなのですが、正規の教育を受けたカウンセラーが少ないうちはその実現も難しいでしょう。
自殺再発率
自殺を試みた人が、再び自殺を試みる可能性は、30%とされています (Hvid, M. and Wang, A. G. 2009). しかし、この率はカウンセリングを受けた後でも30%となっているか、カウンセリングを受けずに30%なのか詳しいことはわかりません。自殺を試みた人の90%がなんらかの精神病を患っているといわれているので、自殺未遂後にカウンセリングを受けなければ 自殺をもう一度試みる可能性は30%以上であるかもしれません。
例えば、最近話題のドラマ「コードブルー」の第3話で、ある研究者が自殺を試み失敗。身体的な問題をある程度解決後は精神科医と話し、研究者がもう自殺をする気はないと言います。精神科医はもう安全と判断し退院。その矢先に、また自殺未遂。カウンセリングが提供されていれば、防げた可能性は高いでしょう。
一方でアメリカのシステムは
アメリカの場合、自殺願望がある人、自殺未遂をした人、もしくはその友人や家族が911に電話します(注1:他にも電話できる所はあります)(注2:日本では警察は110、救急車は119と分かれていますが、アメリカは一つにまとめられています)。その後に警察もしくは専門のチームが現場まで行き、必要とあらば強制入院させます。そこで精神病院に数日入院し、退院後も精神科医とカウンセラーから継続治療を受けます。このように、アメリカにはしっかりとしたシステムが出来上がっており、自殺の再発を防ぐ可能性が高まります。
ですので、先のコードブルーの第3話での自殺未遂患者の場合、アメリカなら、自殺未遂後、身体的な問題を解決後にすぐに精神病院に転院させ、自殺未遂をしたという事で強制入院が普通です。その後、入院中に薬物治療とグループと個人カウンセリングで様子を見ていき、だいたい3-7日で退院。その後のメンタルヘルスのケアも前途したようにしっかり組まれる、というのがだいたいの流れです。
しかし、日本ではこれができません。なぜなら精神病院に必要以上(1年以上入院させらている人が20万人と言われています)に入院させてしまう日本の異常なシステムと、しっかりと正規のトレーニングを受けたカウンセラーが少ないからです。つまり、自殺再発の可能性は高いままです。これでは自殺数は減りません。 (精神病院の異常さに関しての参考リンク:ここではイタリアのシステムと比較されています。 こちらでは具体的な数字で、日本の精神病院の異常さを証明しています。 NHKでも取り扱われています。)
では、システムに頼れないなら、自殺を考えているもしくは試みた人の周りの家族や友人は何ができるかという事を次回触れます。
引用一覧
Hvid, M. and Wong, A. G. (2008). Preventing Repetion of Attempted Suicide-I. Feasibility (accessptability, adherence, and effectiveness) of a Baerum-Model Like Aftercare.
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