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カリフォルニア州公認カウンセラーのブログ

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子どもの心の健康を守るために―海外駐在員とその家族の心の健康(7)

こんにちは。カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也です。

過去何回かにわたってお伝えしている海外駐在員とその家族の心の健康シリーズですが、今回は子どもの心の健康を守るために親が意識するべきことについてお話いたします。

日本文化を強制しない

色々なタイプの子どもがいますし、子どものアメリカ滞在期間にもよりますが、子どもが私のカウンセリングを必要とする場合、非常に多くの場合において親は日本文化を自身の主な文化とし、あまりアメリカ文化を取り入れていないのに対して、子どもはアメリカ文化の方が強くいです。この場合、親がするべき事はそれを否定するのではなく受け入れてあげる事です。しかし、非常に多くの親はアメリカ文化に馴染みがないため、否定しようとし過ぎてしまいます。馴染みが無いものに対して、人間は恐怖や不安を感じるようにできているため、そのような感情を抱くのは当然ですが、否定してしまうとそれは子どもそのものを否定してしまっているのと同義になってしまい、最終的に苦しんでしまうのは子どもです。

日本とアメリカ文化の特徴的な違いの一つ

特に日本の親がアメリカ文化の強い子供に対して押し付けるべきではない一番の要素が、精神論です。ついこの間までは、ポジティブ思考と言われ、ここ最近では自己肯定感という名に変わっていますが、つまるところはただの精神論です。日本は昔から「ネガティブな事に目を向けずに、良い事だけに目を向けよう」という考え方をずっと持ち続けています。しかし、このような精神論は、人間には不可能です。なぜなら脳がそのようにできていないからです。しかし、この考えが当たり前の日本人は「ネガティブな事を考えない」=「すごい」、「ネガティブな事を考える」=「ダメ」という風に捉える方が多すぎます。

このような考えをもつ親が、子どもが困っている時にかける言葉はたいてい

「がんばれ」

「○○すればどうにかなる」

「ネガティブな事は考えるな」

などなど、日本文化が背景にある発言ばかりで、これでは困っている子どもがもっと困ってしまうだけです。こういう事を繰り返していては子どもが心の病になってしまって当然です。

さらに、アメリカに来たばかりの子どもであれば、文化適応、言語適応などなど大人でも非常に大変な事を毎日がんばらなくてはいけないので、ネガティブな気持ちになって当然なのです。それを「ポジティブにならなくてはいけない」という非人間的なことを強制するのは、がんばっている子どもを真っ向から否定する行為であり、子どもに心の病になってくださいと言っているようなものです。

子どもが辛い思いをするのを一番近くで見るのが親としてどれだけ辛くても、子どもが頑張っていることを認めてあげ、日本的な人間的に不可能である「ポジティブでいなくてはいけない」という考えを捨て、子どもの話をありのままに聞いてあげる事が心の健康を守るために親ができる大事な事でしょう。

以上、正しい知識を得て頂ければ幸いです。

荒川龍也
カリフォルニア州公認心理カウンセラー


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