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カリフォルニア州公認カウンセラーのブログ

長年に渡る経験に基づく意見や
メンタルヘルスについて日々考えることを綴ります。

過度な不安・心配への対処法

過度な不安・心配への対処法

こんにちは、カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也です。

以前のブログでは、不安・心配のメカニズムについてお話し、なぜそれが起こってしまうのかお話ししました。今回の記事でももう少し不安・心配について深掘りしていき、理解して頂くべきコンセプトと対処法を説明致します。

不安は取り除くものではない

日本の精神医療の遅れが原因の一つとなって、心に関して間違った理解が常識となっている事が多々あります。その一つが、「不安・心配になってはいけないから、取り除かなくてはいけない」という考え方です。残念ながら、これは間違っています。以前のブログでもお話ししたように、不安や心配とは人間が太古の昔に手に入れた能力であり、これがあるから今まで生き延びる事ができました。不安・心配になる能力が無ければ赤信号を何の躊躇もなく歩いたりする等、危険な事を平気でやろうとしてしまいかねません。つまり、大事なプレゼンテーションの前や、大事なテストの前などは緊張・不安・心配になって当然なのです。このコンセプトを理解して頂かないと、世に出回っているどんな正しい対処法を使っても全く満足いかないでしょう。

では何が正しいのか。それは、「不安は取り除くものではなく、共に生きるもの」と理解する事です。もちろん今までの理解を新しい理解に立て直すにはそれなりの時間と労力が必要ですので、ゆっくり着実に受け入れて頂ければと思います。

思考とは

思考とは、波のように行ったり来たりするものです。起きている時はほとんどの時間、何かを考えているのが人間です。何を考えるかというのは我々が思っているよりも我々がコントロール出来る事ではありません。逆に、考えたくない事を考えようとすればするほど、その波は大きくなり余計考えてしまうようにできています。そして、不安・心配といった感情は、これら思考から生み出されるものなのです。

間違った対処法

対処法をお話する前に、まずはよくある間違った対処法について考えてみましょう。その一つが、自分に「大丈夫」と言い聞かせる」事です。前途したように、不安や考え事とは波のようなもので、行ったり来たりを繰り返します。この波に乗りすぎてしまうことで、「〇〇だったらどうしよう」という考えが止まらなくなります。「大丈夫」と言い聞かせることは不安にさせる波に乗ってしまっているのと同じです。なぜならコントロールできないものをコントロールしようとしすぎてしまい、さらに不安にさせる事について考えてしまっているからです。これでは不安はさらに悪化します。

他に「ポジティブに考える」という事もよくある間違いです。確かに未来は思った通りに行ってくれるかもしれませんが、思った通りに行ってくれない可能性は必ず残ります。つまり、どれだけポジティブに考えても、思った通りに行ってくれない可能性が残っている以上はネガティブに考える事も当然なのです。それを無理にポジティブに考えようとしても、もっと不安・心配にさせる事について考えてしまうだけですので、この方法も助けにはなりません。

対処法

不安・心配になって当然なら、どのようになるのが理想なのか。前途したように、不安になってもそれと共に生きる事によって、生活に支障をきたさなければそれでいいのです。このコンセプトを理解して頂かないと、対処法を使っても効果は感じられないでしょう。

深呼吸

脳の誤作動を正常に戻し、不安・心配を緩和できる一番効果的な方法が深呼吸です。不安にコントロールされている際、脳が今いる状況が例え危険でなくても「危険」だと認識してしまっています。その際に、体を危険な状況に対処できるようにします。その一つに呼吸を早くさせるというのがあります。これを深呼吸する事で体から脳に「危険な状況ではない」と知らせることで、脳が静まり、不安・心配の緩和に繋がります。

深呼吸は以下の事に注意しましょう。

  1. 姿勢を正す
  2. 鼻から吸い、口から吐く
  3. 口から吐く時間を鼻から数時間より長くする
  4. 吸う際に肩を上げずに、お腹を膨らます。

もし落ち着かない場合は、正しい深呼吸ができていない可能性がありますので、上記の事にもう一度注意してみてください。

グラウンディング

不安で落ち着かない場合のもう一つの対処法に、グラウンディングがあります。以下の事を順番通りに試してみて下さい。

  1. 目で見える5つの物を言葉にする
  2. 触れるものを4つ言葉にする
  3. 聞こえるものを3つ言葉にする
  4. 匂いをものを2つ言葉にする
  5. 味覚で感じられるものを1つ言葉にする

という具合に、五感を使って今この瞬間の状況を言葉にしてみます。これをする事により、不安・心配にさせていた考え事の波をやり過ごすことができます。もちろん、その後も不安・心配になってしまうのは当然ですが、それでも、思考を不安・心配にさせる事以外の事にもっていくことで、少しずつ不安・心配で落ち着かないとうの支障が収まっていく事が期待できます。

 

正しい治療の参考にしていただければ幸いです。

荒川龍也
カリフォルニア州公認心理カウンセラー

 


 

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