不安・心配とは
2022.02.03
こんにちは、カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也です。
今回のブログでは、不安・心配についてお話したいと思います。
不安・心配
「〇〇かもしれない」「〇〇になったらどうしよう」、誰しも考えたことがあるこれらが、不安・心配です。こう考える事は人間として当然のことで、逆にこのよう考えられないと危険な目にあってしまうかもしれません。しかし、「〇〇かもしれない」「〇〇だったらどうしよう」と考えすぎてしまう場合、それは心の病のサインかもしれません。
昔からある能力
不安とは昔から人間が持っている未来を想像する能力であり、これがあることで人間はここまで生き延びることができました。そもそも大昔は一日一日を生き残ることができるかどうかわからなかったので、「不安・心配」という能力は常に必要でした。この能力がある事で、例えばクマに出くわしても「戦うか・逃げるか・固まるか」という選択を一瞬のうちにすることで、自らの身を守ってきました。
過度な不安の原因=脳の誤作動
不安・心配の感情を司っているのが偏桃体という脳の部分です。 ある危険な状況になると、この偏桃体が他のどの脳の部分よりも迅速に反応し、体に「戦うか・逃げるか・固まるか」を命令します。この結果、体は様々な反応をします。心臓の鼓動が早くなったり、汗をかいたり、呼吸が浅くなったりというのが例です。体がこうした状態になる事で、危機的状況に対して反応しやすくなるのです。このような反応は正常ですが、人によっては何らかの原因により、偏桃体が反応しすぎてしまう事があります。それが心の病を生みます。
現代では生きるか死ぬかといった状況に陥ることはほとんどありません。しかしこの不安になる能力がなければ、平気で危険な事をしてしまいます。実際、偏桃体だけが機能停止してしまっている女性というのが過去に存在しました。この女性に夜道を一人で歩いてはいけないと何度言っても理解することができませんでした。
偏桃体の誤作動を引き起こす原因(1)考え方
偏桃体が誤作動を起こす理由の一つに前頭葉の影響があります。前頭葉とは論理的思考を司る脳で、偏桃体と強く繋がっています。前頭葉が不安という感情を生み出すような考え方をすると、例え危険な状況ではないにも関わらず偏桃体は誤作動を起こしてしまいます。
偏桃体の誤作動を引き起こす不安の原因(2)生活スタイル
偏桃体は生活スタイルからも強く影響を受けます。例えば、睡眠をしっかり取れていない場合、REM睡眠の回数が減り、その結果偏桃体が誤作動を起こしやすいという研究結果も出ています。
偏桃体の誤作動を引き起こす不安の原因(3)トラウマ
もう一つ考えられる偏桃体の誤作動の原因に、過去に受けたトラウマが考えられます。トラウマを思い出させてしまう物・場所等を見たり聞いたりしてしまう事で、偏桃体が誤作動してしまいます。
不安障害の診断基準
こういった誤作動の結果としてなってしまう心の病の一つに「不安障害」があります。
以下が大まかな診断基準になります。
- 心配し過ぎたり、不安になりすぎる日々が6か月以上続いている
- 心配・不安を自分でコントロールすることが難しい
- 心配・不安のせいで以下の症状がある
a. 落ち着きがない
b. 疲れやすい
c. 集中できない、頭が真っ白になる
d. イライラしやすい
e. 筋肉が緊張している
f. 眠れない、寝付きにくい、途中で起きてしまう
不安障害の診断テストはこちらをご覧ください。
(注:これら診断というのは実際には心の専門家が行うものですので、参考程度にお使いください。診断テストの結果、心理カウンセラーへの相談を勧められましたら、まずは御連絡頂ければと思います。)
次回のブログではこれら不安・心配し過ぎる事への対処法に関してお話致します。
荒川龍也
カリフォルニア州公認心理カウンセラー