カウンセリングがうまくいかない理由―カウンセラー側の原因編
2022.04.03
こんにちは、カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也です。
以前にも大人編と子ども編に分けて、カウンセリングがうまくいかない理由を述べました。
今回の記事は、私がまだカウンセラーになりたての頃の私自身の失敗体験や、私がスーパーバイザーとしてまだ資格を持っていないカウンセラーの監督をしていた時に彼らから聞いた話を元に、カウンセラー側が原因でカウンセリングがうまくいかない理由をまとめました。
1. アドバイスを欲しがり過ぎるクライアントさんにアドバイスを与え過ぎてしまう
以前のブログでもお伝えした通り、世間一般によくあるイメージと違い、心理カウンセリングとはアドバイスを与えるためのものではありません。それでも、アドバイスを欲しがるクライアントさんは、特に日本人の場合はかなりいます。その際のカウンセラーの役割とは、心理カウンセリングとは何かを説明し、例え納得してもらえなくてもアドバイスを与えるのではなく、心理カウンセリングを続ける事にあります。そして、それでもアドバイスを求められても決してアドバイスを与えない事がカウンセラーの仕事になります。
しかし、どうしても何度もアドバイスを求められると、カウンセラーの「助けてあげたい」という気持ちが勝ってしまい、カウンセラーがアドバイスを与えてしまう事もあります。しかし、これが何回か続けば、クライアントはもっとアドバイスを求めるようになります。以前のブログでも説明したように、アドバイスでカウンセリングがうまくいくようにはできていません。なぜなら、うまくいっていれば初めから友人にアドバイスを貰えばいいだけですから。アドバイスを与え過ぎると、多くの場合クライアントさんは悩みが解決しないまま、カウンセリングに来なくなってしまいます。これでは全くもってしてクライアントさんの為になりません。
2. 自分の話をし過ぎる
カウンセラーの言動とは常に「クライアントにとってベスト」なものでなくてはいけません。しかし、カウンセラーによっては自分の話をし過ぎてしまい、クライアントの方が聞き役になってしまう事が多いなんて事もあります。
よくあるカウンセリングに関してのイメージとは違い、カウンセラーは全くと言っていいほど自分の話をしません。もちろんカウンセラーによってその度合いは差があります。理由は単純です。クライアントさんは人に話を聞いてほしいのです。人間は皆、誰かに話を聞いてほしいし、誰かに温かい目で見ていてほしいのです。しかし、残念ながら、そのような時間とは得難いもので、心裡カウンセラーが提供するサービスの一つがそれになります。心理カウンセラーは全身全霊で、クライアントさんが言いたい事に耳を傾け、細かな仕草や表情から言いたい事を察してあげようとするのです。そしてそれを言語化するのをお手伝いするのが心理カウンセリングというものです。そうしていく事で、クライアントさんが自分自身の理解を深め悩みの解決へと繋がっていきます。
しかし、もしカウンセラーが自分の話ばかりをしていたら。。。それでは、クライアントさんが聞いてもらえているという感覚になれないどころか、クライアントさんが聞いてあげなくてはいけません。これでは本末転倒でカウンセリングがうまくいくはずもありません。
3. マニュアルに頼り過ぎる
心理カウンセリングにもいくつか技法があり、その中にはかなりマニュアルを重視するやり方もあります。しかし、カウンセリングとはカウンセラーとクライアントとの人間関係が非常に大事で、人間関係がうまく構築されなければカウンセリングが上手くいかない事は多くの研究結果が証明しています。マニュアル重視のカウンセリング技法も同じで、例え科学的に証明された上手くいきやすいマニュアルを使ったとしても、クライアントとカウンセラーの間に信頼関係が無ければ、うまくいきません。なぜなら、クライアントさんはロボットではなく、人間だからです!
しかし、カウンセラーによってはマニュアルに当てはめる事に注力し過ぎる人も残念ながらいます。もちろん、どんなやり方でも最終的にクライアントさんが救われればいいのですが、マニュアルを重視し過ぎるがあまり、クライアントさんの話を聞けていなければ、カウンセリングがうまくいかなくて当然でしょう。
このように、カウンセリングとは「カウンセラーとクライアントの人間関係」が非常に重要であるがゆえに、カウンセラーとクライアントが二人で作り上げていくものです。よって、クライアント側だけではなく、カウンセラー側にも原因はあるものです。カウンセラーも人間ですのでミスはしますが、それがカウンセリングがうまくいかない原因にもなりかねません。
もちろん、私自身も心理カウンセラーである前に人間ですので、ミスをする時もあります。しかし、それを予防する為に常に切磋琢磨し、資格を取ってもスーパービジョンをずっと受け続けていますので、ご安心して頂ければと思います。
以上、参考にしていただければ幸いです。
荒川龍也
カリフォルニア州公認心理カウンセラー