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カリフォルニア州公認カウンセラーのブログ

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日本でずっと治療を受けているけど、改善されないという方へ(3)子ども編

日本でずっと治療を受けているけど、改善されないという方へ(3)子ども編

こんにちは。カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也です。

こちらの記事では、日本で医者から心の病の治療の受けていてもなぜなかなか改善されないかを、そしてこちら記事ではなぜ日本で心理カウンセリングを受けてもなかなか改善しないかをご説明致しました。

今回は、子どもが日本で心理カウンセリングを受けてもなかなか改善しない理由をご説明致します。

家族への介入が無い

子どもの心の病や問題行動の場合、ほぼ100%といっても過言ではないほど、親が変わらなければ子どもは変わりません。よって、私は子どものクライアントにカウンセリングをする際は、子どもへの個人カウンセリングだけではなく、親御さんへの心理教育も必ず提供します。親の心理教育の時間では、親御さんがやっている事で正しいことはどんどんやって頂き、逆にやるべきではない事は事細かにお教えし、そこを直せばなぜ子どもの心の健康の向上が見込めるのかを説明します。

なぜ親が変わらなければ子どもは変わらないか。それは、子どもは常に親の決めたルールで生活しなくてはいけませんが、そのルールや親の子どもへの接し方が子どもの心にとって良くない場合、子どもは心の病を発症してしまいます。逆に、子どもの心に健康的な接し方ができていて、年齢に沿ったルールが家庭にあれば、初めから子どもが心の病を発症しない事も多々あります。よって、親が変わらなければ子どもは変わらないのです。

私が心理教育を提供すると、親御さんは3パターンに分かれます。(1)私の言っている事を聞き実際に実行してくれる、(2)実行してくれることもあれば実行してくれない事もある、(3)全く聞いてくれない。当然の事ですが、(1)の親御さんの子どもの心の病というのはかなり早く治ります。実際、ある不登校児のカウンセリングをした際に、親御さんがすぐに私のいう事を実行してくれたので、3ヶ月程度で不登校が改善できました。逆に(3)の場合、なかなか子どもの心の病は治っていく事はなく、心理カウンセリングを受けるのを途中でやめてしまわれる方がほとんどです。

このように、家族への介入による親の変化は、子どもの心の病の治療において必須です。しかし、残念ながら、日本ではこういったサービスがされていないケースがほとんどで、これでは治るものも治らず、結局一番の被害者は子どもになってしまいます。

放課後等デイサービスに入れているだけでは何も解決しない

日本には現在、放課後等デイサービスというシステムがあります。これは、心の病や発達障害を持った子どものための学童のようなものです。ここでは、様々なアクティビティーを経験することができます。放課後等デイサービスに入れておけば、子どもの心の病が改善されると期待されている親御さんが多いようですが、残念ながらそのような期待はされない方が良いでしょう。

まず、放課後等デイサービスは心の病を持つ子どものための施設であるにもかかわらず、心理カウンセラーがいなくても成り立ってしまうシステムです。そもそも、日本政府がこのシステムを始める際、「親のレスパイト(休憩)」をさせるための施設だと謳ってしまっています。これでは上記した、親の変化が無ければ子供は変わらないという事実とは真逆であり、親は変わらなくても良いですよというメッセージになってしまっています。これでは子どもの心の病は全く良くならないでしょう。

民間資格・無資格

こちらの記事では、日本は法整備の遅れが原因で、民間資格&無資格でも心理カウンセリングを提供できてしまい、それがどのように大人のクライアントに悪影響を及ぼすかを説明しましたが、これは子どもにも当てはまります。

例えば、不登校専門機関と謳っている民間のサービスですら、蓋を開けてみれば心理カウンセラーと名乗っている人は、大学院に行かずに取れてしまうような簡単な資格しか持っていない人も多数います。さらに、資格を持たずに、大学で心理学を勉強しただけ・独学で勉強しただけで心理カウンセラーと名乗ってしまう人もいます。「自分が元不登校児だったから」や「不登校児の自分の子どもを学校に行かせられるようになったから」といった理由で心理カウンセラーと名乗ってしまう方も多くいます。

再三になりますが、欧米では心理カウンセリングは医療として認められており、大学院卒業後にインターン時間を修了し、国家試験に合格し始めて医療従事者になれるのです。心理カウンセリングとはそのくらい決して簡単な事ではありません。

このような民間資格・無資格の心理カウンセラーばかりでは、助かるはずの子どもも助からなくて当然でしょう。

カウンセリングの質

最後に、カウンセリングの質も、日本はアメリカのそれと比べてもかなり遅れている事が見受けられます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。これでは、子どもが犠牲になってしまいます。

以上、なぜ日本の子どもが心理カウンセリングを受けても心の病がなかなか治らない事が多いかを説明致しました。
正しい治療を受けられるきっかけにして頂ければ幸いです。

 

荒川龍也 LMFT (#82425)

カリフォルニア州公認心理カウンセラー

注:もちろん日本にも、しっかりと大学院に行き、正規のトレーニングを受け、資格を取得した後も勉強を続け、最新の治療法を学び実践されている方もいらっしゃいますので、誤解のないようにお願い致します。

 


 

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