〇〇ロス
2017.07.13
こんにちは。
カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也です。
先日のヤフーニュースで「母ロス」について書かれていたので、今回はそれについて。
福山雅治さんが結婚して「福山ロス」、いいともがおわって「いいともロス」「タモロス」などと最近よく使われるこの「○○ロス」という言葉。
そもそも、○○ロスとは、大事な物や人を失くすことです。それは例えば自分の地位だったり、目標だったりでも同じようにロスといえます。
ロスを経験すると、人は5つのステージを経験します。
1.否認―現実を否定することです。ロスは起こってないものだと思い込みます。それの思い込みをサポートする事実を無理やり作り出そうとする人もいます。
2.怒り―現状に対しての怒りです。なぜこんなことが自分に起こるのかと納得のいかない、けどやり場のない怒りです。
3.取引ー日本語ではちょっとわかりにくい訳ですが、神様や仏様に「私は○○するので、○○を戻してください」といった感じで、お願いすることです。残念ながらこれは叶う事はありません。
4.悲しみ―失った人や物に対して悲しみを感じます。
5.受容―失った人や物はもう戻ってこないという現実を受け入れられることです。
いくつか注意点があります。
A. 最終的な目標は5の受容のステージにたどり着き、長く留まり続けることです。
B. 必ずしも1-4全てを経験するわけではありません。例えば、4だけ経験してから受容のステージに行くことができる人も多いです。
C. 1-5までを順番どおりに経験するわけではありません。
D. 5の受容のステージにたどり着けたとしても、他のステージに戻ることも当然あります。例えば5のステージにたどり着けたとしても、何かのきっかけで失った人への気持ちを思い出して、4の悲しみのステージに戻ってしまう事もありますが、必ず5に戻ってくることはできます。
欧米と日本での違いは特に顕著ではない
母ロスの記事で【 『母ロス』(幻冬舎新書)の著書がある心理学者の榎本博明 が「欧米では配偶者を失った場合に対象喪失反応が出やすいのに対し、日本では親を失った時に顕著です。欧米では配偶者同士の絆が強いのに対し、日本では親子間の距離が近いため。。。」】と書いてありますが、これは間違いです。何かの研究結果を基にした発言かもしれません。しかし、私の知識とアメリカ人と日本人を診てきた経験では、文化によって多少の違いはあれど、この5つのステージは文化は関係なく、失った人や物に愛着があればあるほど上記の症状(否認、取引、怒り、悲しみ)が出やすく、程度も重くなります。
鬱との違い
以下が鬱と悲しみのステージで苦しんでいる人の違いです。
1.悲しみのステージにいる人の悲しい気持ちというのは波のように行ったり来たりしますが、うつ病の人は悲しい気持ちをコンスタントに感じ続けています。
2.ロスで苦しんでいる人は、これが影響して自信が揺らぐことはあまりありませんが、うつ病の人は全く自信がなくなってしまっています。
3.うつ病の人は他にもたくさん症状があります(自殺願望、体重の顕著な増減など)
解決法
最後に、解決法です。いくつかありますが、
現実を受け入れるには時間がかかります。何年たっても思い出してしまうのも自然なことです。まずは時間がかかることだと受け入れることが大事なことだと思います。
ペースも人それぞれですので、どれだけ時間をかけてもいいと思えることも大切です。周りは時間がかかっているからといって決して焦ったり、責めたりしてはいけません。
一番大事なのは亡くなった人の話を他の人、特に亡くなった人の事を知っている人とするのがいいでしょう。思い出さないようにしたり、否認したりするのが一番メンタルヘルスの健康には良くないです。
それでもまだ前に進めないという方はカウンセリングをお勧めします。
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