AIは心の状態を悪化させることもある!
2026.05.28
こんにちは、カリフォルニア州公認心理カウンセラー(Licensed Marriage and Family Therapist)の荒川龍也です。
3回に分けてAIになぜカウンセリングができないかをご説明差し上げました。できないどころか、AIがカウンセリングのようなことをするのは非常に危険な行為である事も事例を通じて申し上げました。
今回の記事では、AIに相談することで、むしろ心の状態が悪化してしまう可能性が非常に高い場合がある事、またなぜ悪化してしまうのかをご説明差し上げます。
前提として、この記事では不安障害(不安になり過ぎてしまい、睡眠等の生活に支障をきたす心の病)もしくは不安・心配になり過ぎてしまいがちな方に特化して書きます。うつ病や落ち込みの場合に関しては別記事でお話いたします。
ここの記事でも過去にご紹介いたしましたが、まずは不安・心配について、まずはさらっとおさらいしましょう。人間の脳は、不安・心配になるようにできていますので、不安・心配になることは正常な事です。しかし、「〇〇かもしれない」「〇〇になったらどうしよう」と考えすぎて、例えば他の事が集中できない等、生活に支障をきたしている場合、それは不安障害の可能性があります。(ご心配の方は、セルフテストをご活用ください。)
この不安・心配というのは消すことができるわけでもありません。また、不安・心配になっている最悪の状況が起こらないと確証を得られるわけでもありません。なぜなら誰も未来はわからないからです。
しかし、こういった場合はこう対処すればいい。ああいった場合はああいう風に対処すればいいというのは、挙げればきりがないのです。さらに言えば、このような悪循環にはまると人間の脳はもっと不安になるようにできているので、結果として不安障害を悪化させてしまい、さらに生活に支障をきたしかねないのです。
では、本題であるAIがどのように悪化させるかについてお話ししたいと思います。最近では、「AIに壁打ちする」などという言葉が定着しているように、AIに向けて不安・心配にタイプしている方が多いようです。それだけではなく、AIから得た「回答のように聞こえる」AIの反応をもとに一時的に安心しているかのような錯覚に陥る方も非常に多いようです。しかし、この「AIに壁打ちする」という言葉が示す通り、AIは文字どおり(パソコンの見た目をした)ただの壁に過ぎず、人間ではないのです。
ではこれがどう悪化させるか。まず、AIには「あなたは考えすぎている」というようなことは言えません。なぜならAIにはタイプしている人に対して何か損になるかもしれない事を言えないからです。また、もし「あなたは考えすぎている」と言えたとしても、人間から言われても受入れるのが難しいのに、感情が無いロボットからそんなこと言われても受け入れられるわけはありません。
ではどうなっていくかというと、タイプしている側はひたすら自分の不安についてタイプしていきます。それに対してAIは考え得る状況に対しての対処法をひたすら述べていきます。そうです。自分ですでに頭の中でやっている悪循環を手伝ってもらえっているのと同じなのです。もちろんタイプしている側は対処法を教えてもらっているぶんだけ、違うかのように感じるかもしれませんが、無限に挙げられる不安のごく一部に対して対処法を考えているだけなので、結局無限にある不安をすべてカバーしきることはできず、この悪循環を助長してしまっていることに変わりは無いのです。結果、前述したように、不安・心配に余計なりやすくなってしまい、生活の支障がさらに悪化する事でしょう。
以上、AIが助けにならないどころか、悪化させてしまう事についてご説明差し上げました。次回は鬱についての例に触れたいと思います。
カリフォルニア州公認心理カウンセラー (Licensed Marriage and Family Therapist #82425)
荒川龍也