子どもの心の病の治療の為に親がやるべき3つの事
2025.01.11

子ども、特に中高生専門の心理カウンセラーとして、長らく中高生とその家族を診てきた経験から声を大にして言いたいのは、親が変わらなければ子どもは変わりません。つまり、親が変わらなければ子どもの心の病は良くならないという事です。子どもが心の病になり、心理カウンセラーが必要となった場合、心理カウンセラーがメインの治療者です。それと同時に、親が変わっていくことも必須となります。なぜなら、心理カウンセラーが子どもに会えるのは、(例外を除いて)一週間に1時間程度です。それ以外の時間は全て親の傘の下で過ごします。その傘が一つの原因となり、子どもは心の病になるのです。その傘を変えない限りは、子どもの心の病も治らないのです。
今回の記事では、子どもの心の病の治療の為に、親が何をするべきかについてお話ししたいと思います。
認める
まずは子どもの心の不調は親が大半の理由であるという事を認めましょう。認める事は非常に辛く、簡単な事ではありません。しかし、環境(学校や友達関係)のせいにしたり、元々そういう子だからという論調で、親自身がどれくらい子どもの心の不調に影響を与えているかを認めない親が非常に多いです。残念ながら、これでは余計に子どもの心の調子は悪化していきます。
他にも、「どうせ私が悪いんでしょ」と責任を指摘している側を責める親御さんも多々見受けられます。もちろん、責めているわけではなく、原因がそこにあるので、問題解決の為に原因を突き止める事は重要で、それができなければ問題は解決しません。しかし、このように「責められている」と勘違いしてしまう親御さんも多数見受けられます。もちろん、このような対応では建設的な話し合いになりにくく、なかなか心の病は治りません。
子どもの話を聞く
認められたのであれば、次に大事な事は子供の話を聞いてあげる事です。その際に気を付けるべき点がいくつかあります。
まずは、正そうとし過ぎない事。子どもなので間違ったことを言います。大人からすれば眉唾物なことも言うでしょう。それでも話を聞いてあげる事です。間違った事をいうのは子どもが子どもであるがゆえにです。にもかかわらず、正し過ぎてしまうと、それは話を聞いていないのと同義です。さらに、「○○するべき」「○○しなくてはいけない」という上から目線で物事を話しすぎるのも良くありません。これはコントロールし過ぎていることと同義で、心の健康に良い事ではありません。
そうではなく、シンプルに話を聞く。しっかり話を聞いてるとボーディーランゲージで伝えてあげてください(話している本人を見る、体を話している本人に向ける、話を聞く時は他の事をしない、相槌を打つ等々)。子どもに興味を持ち、子どもが何を考え、感じ、夢見ているのか、知ろうとしてあげてください。多くの場合において、親が思っているよりも親は子どもの事を知らない事が多いです。
もしお子さんがまだ小学生などの小さな子どもであれば、話を聞くよりも一緒に遊んであげる事の方が大事でしょう。小さな子供にとっては、遊びが何より一番大事なコミュニケーションツールだからです。
バランス
最後に、何事もバランスが大事です。
心の病になってしまう子どもの親というのは、それまで厳し過ぎたか甘すぎたかのどちらかであることが多く、子どもが心の病になると、厳し過ぎた親は逆に甘くなり過ぎ、甘すぎた親は逆に厳しくなり過ぎてしまう傾向にあります。
しかし、しつけや家のルールというのは白か黒かで考えるべきではありません。つまり、常に厳しくするか常に甘くするというアプローチであるべきではありません。このようなアプローチ自体が子どもすらも白か黒かで考えさせるようになり、心の病の原因になるのです。
そうではなくバランスが大事です。例えば、子どもが心の病になる前は厳し過ぎたのだとしたら、それはルールを守らせる事はできているのです。しかし、厳し過ぎるというのは、自主性を奪ってしまっている事が多いので、自主性をもう少し重んじるアプローチに変えたほうが良いでしょう。
以上、心について正しい理解をして頂ければ幸いです。
荒川龍也
カリフォルニア州公認心理カウンセラー (LMFT, 82425)