わかりにくい、「低飛行」なうつ病とは
2021.07.19
こんにちは。カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也です。
今回は、よくご質問を頂いたり誤解されがちなうつ病に関して書きたいと思います。うつ病と一言で言っても実は何種類かあります。今回はあまり知られていない、持続性抑うつ障害についてお話します。
一般的に、うつ病というと全く何もやる気がしなくて、仕事も手につかず寝込んでいる状態というのがイメージとしてあると思います。確かにこれはうつ病のイメージとしては正しいのですが、持続性抑うつ障害は少し違います。
持続性抑うつ障害の大まかな診断基準
- 落ち込んでいる、悲しい気分、何もやる気になれない等(子どもの場合は反抗的態度やイライラもの状態)が2年以上続いている(子どもの場合は1年)
- 以下の症状のうち二つ以上当てはまる
- 食欲減退、過食
- 睡眠不足、過眠
- エネルギーが無い、疲れやすい
- 自分に自信がない
- 集中できない、物事を決めるのが難しい
- 希望を持てない
以上が、持続性抑うつ障害の大まかな基準です
注:他にも細かい基準等ありますので、上記だけで御自身のみで判断するのは危険ですので、疑われる場合はご連絡下さい。
気を付けるべき点
持続性抑うつ障害は非常にわかりにくく、我々心の専門家でも見落としがちな心の病です。
多くの方が抱くうつ病のイメージは、仕事に手がつかない、学校の勉強ができない、何にもやる気がしない等、最悪の場合生活すること自体が困難な病です。しかし、持続性抑うつ障害の場合、通常の状態と比べると落ち込んでいるが生活ができないとほどまでには至っていないケースがほとんどです。よって、他の心の病が心配で連絡を頂いたら、持続性抑うつ障害だったというケースが大変多いです。
子どもの場合は、通常よりイライラしやすかったり反抗的態度が増えるといった症状。大人の場合は、通常よりも元気がない、やる気が出ない、悲しい状態が続くといった症状。これらの症状が長期間続く場合は、持続性抑うつ障害を疑うべきでしょう。
よく申し上げる例えとしまして、一般的なイメージのうつ病は飛ぶことすら難しいのに対して、持続性抑うつ障害は低空飛行がずっと続いている状態、と考えて頂ければわかりやすいかもしれません。
放っておいた場合のリスク
多くの場合、どの心の病も放っておいて治るものではありません。持続性抑うつ障害も例外ではありません。持続性抑うつ障害の場合、放っておけば大うつ病(一般的なイメージのうつ病。生活がままならないほど悲しい気分、やる気が出ない、イライラする、反抗的態度が激しい等の症状)になってしまいかねません。
対処法
持続性抑うつ障害も他の心の病と同様、心理カウンセリングでゆっくり少しずつ治していくしかありません。骨折すれば整形外科医に、癌になれば癌専門医にいくように、心の病の場合も自分だけで治そうとするのではなく、心理カウンセラーに行くのがベストな選択です。
もし御自身や家族の方が持続性抑うつ障害の疑いがあるようでしたら、御連絡頂ければ幸いです。
荒川龍也
カリフォルニア州公認心理カウンセラー