パートナーの心の健康2~海外駐在員とその家族の心の健康 (15)
2024.07.06
こんにちは
カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也です。
海外駐在員とその家族の心の健康シリーズ、今回で15回目となります。今回の記事は、12回目に書いた駐在員としてアメリカにいらっしゃった方のパートナーの方の心の健康についての話の続きをします。前回は主な原因についてお話しさせて頂きましたが、今回は実際にできる事についてお話しさせて頂きます。前回と同様、非常に多くの場合において、駐在員は男性でパートナーの方は女性ですので、この記事でもそういったケースに絞って書いておりますことを予めご了承ください。
我慢し過ぎない
元々日本人は我慢し過ぎてしまう癖が多くの場合においてあり、駐在員のパートナーも例外ではありません。そしてこの我慢強さがデメリットになってしまう事が多々あります。海外駐在員とその家族の心の健康シリーズで何度もお話しさせて頂いておりますが、海外駐在とは決して簡単な事ではなく、かなり難しい事なのです。よって、我慢し過ぎない事は非常に大事な事です。
例えば、駐在員のパートナーの方は多くの場合においてお子さんと同伴されます。そして多くの方が、子育てのみに従事し過ぎてしまい、自分のための時間を取らない事がよくあります。しかし、子どもばかりに集中し過ぎてしまい、自分のための時間を持たないと、やはり疲れがたまってきてしまい、それが生活に影響を及ぼすようになります。
しかし、「家族がアメリカにいないので、頼める人もおらず、自分のための時間は作れそうもない」というのを頻繁にお聞きします。この発想自体が「自分だけが我慢すればいい」というスタンスから来ていないか再考されてみてください。
子育てとは母親だけがするものではなく、旦那さんも参加してこそ初めて子育てがやりやすくなるのです。「旦那は仕事が忙しくて」とお思いかもしれませんが、一か月に2回、いや一回でもいいので自由な時間を数時間作ってみてください。もちろん旦那さんの協力も必要になってくるかとは思われますが、かなりリラックスできるとこと間違いありません。
このように、様々な所で我慢し過ぎていないか、今一度考えてみて頂いて、旦那さんと話し合って、帰られるところは積極的に変えていくことが大事でしょう。
旦那が安定して仕事ができているのは奥さんのおかげ
もし旦那さんの仕事がうまくいっているのならば、それは奥さんのおかげなのです。もし旦那さんが一人で来ていたとしたら、料理、選択等々の家事はいったい誰がしていたのでしょうか。また、家に一人というのも、精神的に辛いものです。奥さんが家事をこなし、子どもの面倒を見て、旦那さんが辛そうなときは話を聞いてあげる。これら全て、社会的には軽視されがちですが、ものすご~~~~~~く重要な事です。つまり旦那さんの会社からの良い評価というのは奥さんの日々の努力のおかげなのです。それを、旦那さんも、旦那さんの会社も理解し、認めてあげるべきですが、何より一番認めてあげるべきは奥さんなのです。
男尊女卑がまだまだ強い日本なので、上記の仕事をこなしていたとしても、奥さん自身がそれに誇りを持てていない事が多々見受けられます。しかし、家事や縁の下のサポートの重要性を理解できると、ご自身の存在そのものが実は思っていたより重要だという理解ができます。それは心の病にまだなっていないのであれば、予防に繋がります。もし既に心の病になってしまっているのであれば、心の病を治すためには非常に重要なポイントになります。
以上、正しい知識を得て頂ければ幸いです。
荒川龍也
カリフォルニア州公認心理カウンセラー